山で生きるには、山の生命力を取り戻すことが重要である。
岩石からできている山が生き物のわけがない、という人もいるかもしれない。
しかし、その上で生活を営む樹木、水、昆虫、動物、キノコなどの菌類は山がないと生きていけない。
それは人間も同様である。
菌類には樹木と樹木の関係を取り持つ重要な役割がある。
地中には菌類の菌糸が張り巡らされており、木の根っこと他の木の根っこを結びつけコミュニケーションの受け渡し役をになっている。
例えば、害虫が来た場合には危険信号を発し、受け取った木は防衛策として害虫が嫌いなタンニンを葉に発生させる。
目に見えないところで、インターネットの様な複雑なコミュニケーションが成り立っているのだ。
菌類はその見返りに、木から養分をもらう共生関係が成り立っている。
山が皆伐され、禿山になると菌類も共に死んでしまう。
植林地を見ると、私はとても悲しくなる。なぜなら、植林地からは生命力が感じられないからだ。
これは、毎日毎日、現場で樹木と対話してきた結果、実感として感じることである。
というのも、植林された木は根っこが傷ついており、上記のコミュニケーションが取れないのである。
一方、原生林の樹木を見るとその存在感には圧倒される。
本来、白州(標高700m~1600m)の植生はブナ林であったはずなのだが、現在ブナはカラマツ植林地と植林地の狭間の尾根に数本残っているだけである。(林業の現状はこちらの記事へ→)
本来の植生であるブナ林を取り戻すことができたらどれだけ素晴らしいだろうか?
山の生命力を取り戻すためには、好きな場所に、適正な樹種が生きている状態に戻すことが必要だ。