• 森林整備によって、副次的に生み出される山の恵みをおすそ分け

    植えない林業とは?

    林業といえば、「植林でしょ」とよく言われる。

    私も、林業事業体に所属していた時は、毎年春になるとヒノキやカラマツなど植林してきた。

    植林は1.8m間隔で苗木を植える施行であり、1町歩当たり約3000本の苗木をきれいに等間隔に碁盤目のように植えていく。きれいに植えるということは、植え付ける場所が苗木にとって良い場所であるか、よくない場所であるかなどは関係なく、人間が管理しやすいように、きれいに植えることが重要なのである。

    しかし、樹木は樹種によって好きな場所があり、様々な好みがある。

    例えば、杉は湿った場所が好きであり、松は乾いた場所が好きである。ひなたが好きな樹種があったり、日陰が好きな樹種もある。木にとって好きな場所、快適な場所がそれぞれあるのである。

    植林するということはそのような樹木の個性は無視して、画一的に等間隔に植えていくことである。

    自然界で苗を植えるということは、ありえないことである。

    苗木というのは、畑でタネを発芽させ3年程育てて(30cm位)から山に植え替えるのである。

    そのようにすると、3年程度育っているので、少々、環境が自分好みでなくても決められた場所で活着して育つことが出来る。

    ただ、それっていいことですか?と言いたい。人間の都合で管理しやすいようにしているだけではないのか?

    そのような環境で育った樹木が健康に育つわけがなく様々な病気を抱えたり、根っこが傷ついて養分や情報を受け取れなくなってしまうのである。

    植林と対極にあるのが、植えない林業である。それは苗木を植えるわけではなく母樹となる前世樹から種が落ち、発芽し、その幼樹の成長を促進する自然の理りに則った育林である。

    私がこのような反林業ともいえる施行に着目したのは福岡正信の著作『わら一本の革命』の影響が大きい。

    福岡正信さんは自然農法の実践者であり、苗木を植えず、様々な野菜のタネを粘土と混ぜ泥団子にして田畑に投げつける農業を発明したひとである。”福岡正信” ”泥団子”youtube検索すれば色々出てくる。

    福岡さんの信条は、発芽したい場所で発芽し育った野菜がうまくて収量も多いというものであった。

    それを林業に発展させたのが植えない林業である。

    樹木の一生は野菜と比べるととても長い。人間以上の長さである。植えない林業の結果は何十年、何百年と経たないとわからないかもしれない。だが、自然の力は人知を超えており、タネの状態でその場所が自分にとっていい環境なのか、悪い環境なのかわかるのである。ひなたが好きな樹種は紫外線の量で日光量を判断し発芽するかしないかを判断しているのだ。植林のように適地でない場所では、健康に成長できないのでそもそも発芽しないのである。

    自然を思い通りに作り変えるのではなく、自然の力を借りる林業が植えない林業である。このような植えない森林再生を広めていきたい。

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