本日は、速水亨著の『日本林業を立て直す』を紹介します。
著者は三重県尾鷲で1790年から林業を営む家に9代目として生まれた。
日本の閉鎖的な林業界で、新しい知見を取り入れるパイオニアである。
その林業家のトップリーダーが本書のまえがきに書いているが、
「日本の林業は今、瀕死の状態にある。苦境に立たされる林業にあって、ヒノキの価格はこの10年間で1/3に落ちた。スギもヒノキも木材と名のつくものは総倒れ状態である」
この本は2012年に出版されたので、今から6年前であるが、右肩下がりの状況は変わらない。
しかし、なぜこの仕事をするのかというと、やはり山に魅せられているからとしか言えない。
日々樹木と対峙していると、実感として樹木は生き物であると感じるのである。
これは林業を始めるまでは私の感覚の中になかったものだ。
今では私が山を降りた後に、木々が話し合って、歩き回っているんじゃないかと思うほどである。
また、著者はこうも言っている「木材生産と自然との共生こそがこれからの林業には絶対に必要であるという事であり、それは可能だということだ。”林業は生き物の集合体としての森”を対象にした産業である。生き物との対話が存在するからこそ林業という産業も成り立つのだ。」
この文章を読むだけで、著者が山に魅せられた人であることがよく分かる。
都市に住み、生きる意味がわからないという人は林業をすればいい。
林業を救うことが人々を救うことにつながると私は考えている。