• 森林整備によって、副次的に生み出される山の恵みをおすそ分け

    今日の山梨日日新聞に日本たばこ産業(JT)が自然環境を守るために、植林地の下草刈りを行なったという記事が掲載された。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    この記事を見て、最初に思ったことは、まだ、こんなことをしているのか?という驚きであった。

    JTが行なったことは自然環境を保護する活動でも何でもない、ただのアピール活動である。

     

    私も以前、森林組合で働いていた際に”○○の森”という東証1部上場企業のCSR活動を手伝っていたが、自然保護とは似て非なるものであった。それは、自然林を10000㎡全て切り払って、新たに苗木を植えるというものであった。その森に一年に一回社員が来て作業をし、自社HPやマスメディアを使ってアピールするのである。

     

    何をもって、自然環境保護というのか分からないが、本来、山の公益機能を維持するのは山主の使命であり、この森は村有林なので村の責任である。

    二酸化炭素の吸収を促進するための活動だとすると、JTの従業員数は57000人で、日本人一人当たりの二酸化炭素排出量は9.8トン/年であるので、温暖化が始まる、産業革命以前の水準に戻すには57000×8.8トン/年の二酸化炭素を削減して初めて、自然環境を守っていますとアピールできるのである。これは森林面積に換算すると約50万haである。

     

    この数字は林野庁が温暖化対策のために日本全体で行う年間搬出間伐の目標面積とほぼ同じである。

     

    ということは、JTが行うアピール活動は自社の従業員が排出した二酸化炭素を吸収するには全く及ばないし、林野庁が立てた目標を実現してもJT従業員分の二酸化炭素を吸収したに過ぎない。

    しかも林野庁の搬出間伐の目標達成率は10%未満である。

    政府も企業もやっていることに全く整合性がない。森林の二酸化炭素吸収機能を使って温暖化を阻止することは不可能なのである。

     

    こんなアピールをするために東京から山梨の山奥にガソリンや電気を使って来るということは、自然環境を破壊している何物でもない。少し自分で考えれば分かると思うのだが。未だにメディアですら便乗してしまうのだからどうしようもない。

     

    温暖化対策に必要なことは、一人一人の排出量を減らすことであり。それをなくしては、どのような活動も全く意味をなさない。それどころか逆効果である。